「一度怒りの感情に支配されてしまうと自分ではどうにもできない・・・」
「何時間怒鳴り散らしても怒りが発散されない・・・」
「こんなに怒るつもりじゃなかった、冷静に話し合いたかったのに・・・」
自分でも自分が怖くなるくらい感情に支配されてしまうと、「自分は何らかの病気ではないか?」と疑ってしまいませんか?
『うつ・ADHD(注意欠如・多動症)・PMDD(月経前不快気分障害)・双極性障害』怒りがコントロールできなくなる病気といわれていますが、病気と決めつける前に確かめてほしいことがあります。
それは、あなたはちゃんと怒りをコントロールする方法を知っているかどうかです。
まず、怒りってコントロールできることはご存知ですか?
怒りの感情は自然に沸き上がり、そしてそれは誰にも止めることができない・・・なんて思っていたら大間違いです。
怒りを消したり、抑え込むことはできませんが、怒りをコントロールして火山のごとく大爆発させることを避けることはできます。
その方法がアンガーマネジメントです。
怒りの暴走を防ぐアンガーマネジメント
2017年に秘書に腹を立てた女性の国会議員が怒り狂っている様子がおさめられたテープが公開され、そのパワハラという言葉では収まり切れないほどの怒り具合に連日テレビやネットで騒がれました。
その後女性議員は党を離党、翌年の衆院選挙で落選し、政治の世界から離れることになりました。
どんなに高学歴だったり、地位の高いところにいたとしても、怒りで身を亡ぼす時は一瞬です。
怒りを爆発させて問題を起こす例は、日常でもしばしばみられます。
イライラしてゴミ箱を蹴っ飛ばすくらいならまだいいですが(ダメだけどね)、他人に危害を加えてしまうこともあります。
この手の暴力事件が頻繁に起こるのが外国ですが、アメリカでは1970年代から『アンガーマネジメント』がさかんに行われています。
歌手のジャスティン・ビーバー、俳優のチャーリー・シーンなど、事件を起こして裁判所からアンガーマネジメント講習の受講を命じられたお騒がせセレブは大勢います。
日本では、テニスの錦織圭選手がアンガーマネジメントを取り入れて成績を伸ばしたといわれ、注目を集め始めています。
アンガーマネジメントは古くからありますが、日本ではまだまだ浸透しておらず、日本は心のケアにおいては後進国とも言えます。
日本ではダメなことはダメ!悪いことは悪いこと!と、善悪だけが決まっていて、心のケアについて学ぶ機会がほとんどないですよね。
最近になってようやく学校にソーシャルワーカーの人が派遣されるようになりましたが、依然として『相談する=深刻な問題を抱えている』という図は変わっていません。
大人が受けるに至っては『カウンセリング=精神異常者』なんて偏見を持っている人も少なくないのが現状です。
外国では映画や美容室に行く感覚で、家庭のちょっとした悩みや自身についてカウンセリングを受けているんですよ。
アンガーマネジメントとは

アンガー(Anger)は怒り、マネジメント(management)は管理という意味です。
簡単に説明すると、怒りをそのまま爆発させるのではなく、いったん冷静になって、より穏やかな行動を選べるようになるためのトレーニングです。
アンガーマネジメントでは、怒りの原因を調べ、思考パターンを変える方法や、6秒間待つ、10まで数えるなど、心を落ち着かせて反射的な行動を制御するテクニックが学べます。
これは怒りを消すとか、抑え込むということではありません。
怒りという感情は、自分の意思ではコントロール(支配)することができないからです。
怒りっぽいのって性格のせい?【怒りっぽいを直したい人必見】
主なアンガーマネジメントの方法
アンガーマネジメントを行う方法は複数あります。
その中でも特に取り入れやすい方法をいくつか紹介しますね。
怒りを6秒こらえる
怒りを鎮める方法として、まずは怒りを6秒間だけこらえる方法があります。
頭が真っ白になるくらい一瞬で怒りが全身を支配する・・・この時間が長くても6秒なんです。
その時間をどうにかやり過ごす、といったもの。
頭の中で『1,2,3・・・』と6秒数えたり、深呼吸したり、怒りの対象と違うところに視線を向けたりします。
メラビアンの法則によると、人間は視覚からの情報が55%なので、怒りの対象物を視界から消すのはとても有効な手段の1つですよ。
「怒りが最高潮に膨らんでるのにそんな冷静に6秒を過ごせる!?」と思うかもしれませんが、あなたはもう6秒さえこらえたら怒りに支配されることがない、ということを知っているので大丈夫。
アンガーマネジメントを知る前のあなたとは違う行動を選択できるはずです。
6秒をやり過ごすアンガーマネジメントについてはこちらの記事でくわしくお話しています。
”I”メッセージを使う
次に、相手に”I”メッセージを伝えるという方法があります。
”I”とは”私”。
Iメッセージとは、話す時の主語を自分にするというテクニックです。
・(私は)そう言われると悲しい
・(私は)そこへ行くのは心配だ
・(私は)そう言われて嬉しい
・(私は)これが苦手だ
例えば、待ち合わせに遅れてきた人に対して、「どうしてあなたは遅れてきたのよ!?」と相手を責めるのではなく、「約束を忘れられたかと思って、悲しくなった」「道中に何かあったのではないかと心配になった」と自分の気持ちを伝えます。
これは怒りの感情以外にも使える方法で、自分の感情を柔らかく伝えつつ、いったん判断は相手に委ねる・・・といったものです。
「なんで遅れたの!」と怒るより「悲しかった」と伝える方が、相手も素直に『悪いことをしたな』と感じると思いませんか?
アンガー記録をつける
イラッとするたびにアンガー記録をつける、という方法もあります。
自分が何に怒ったのかを記録しておくことで、自分はどのようなことで怒りを感じるのかを客観的に見つめることができます。
『アンガー記録』と『Iメッセージ』を併用し、自分の怒りのポイントを見つけ、それを相手に伝えるのも有効です。
また、落ち着いたころに見返してみることで『え、自分ってこんな小さなことで怒ってたの?』と過去の怒りや悲しみを昇華させる働きも期待できますよ。