『気が短くて怒りっぽい』
『自分は怒りっぽい性格なんだ』
・・・コレ、間違いなんです。
怒りっていうものは性格ではなく感情から来るものですよね?
感情は脳が勝手に発生させるものなんです。
しかし、ドイツの医学者・精神科医のエルンスト・クレッチマーが考えた体格類型論では粘着気質の人は怒りの沸点が低く、分裂気質の人は感情を表に出しにくいとされています。
そのため、性格と感情との間にはまったく関連がないとは言い切れません。
怒りの感情と性格は関係しているのか?
感情とは、人が他人や物事に対して抱く気持ちのことです。
喜怒哀楽のほか、驚き、恐怖、あきらめ、希望、嫌悪など数多くあります。
感情の研究は、性格の研究よりもずっと前からされていて、紀元前のギリシャの時代には既に行われていたんです。
というのも、つかみどころのない性格と比べると、感情はとてもわかりやすいから。
感情と性格は馬と御者の関係

古代ギリシャの哲学者プラトンは、感情と理性を馬と御者(馬を操る人)に例えました。
勝手気ままに動こうとする感情(馬)を、理性(御者)でコントロールしようというのです。
だって、感情は自分の意思にかかわらず勝手に出てくるものですよね?
些細な事で瞬間的に激しい怒りが沸くこともあれば、悲しいはずのお葬式でなぜか笑が込み上げて困ってしまったなどという体験談を聞いたこともあるでしょう。
感情のスイッチを入れたり切ったりしているのは、脳の真ん中にある大脳辺緑系です。
哺乳類でもっとも古くから発達した部分で、大脳辺緑系は『原子脳』や『太古の脳』とも呼ばれているんですよ。
大脳辺緑系のもともとの働きは、危険が迫ってきたときに恐怖を感じることでした。
恐がることで、逃げる・戦うなりの行動を誘発し、身を守る目的です。
感覚・感情・思考
感情発生のメカニズムをもう少しくわしく見てみましょう。
大脳辺緑系には『偏桃体(へんとうたい)』という小さなアーモンド形の器官があり、視覚・聴覚・触覚などの感覚情報を受け取り、それが快不快(好き嫌い)かを判断します。
偏桃体の隣には、タツノオトシゴのような形をした『海馬』があります。
海馬は偏桃体から快不快の感情を受け取ったあと、記憶に蓄えます。
記憶と共に感情も蓄えているから、過去の出来事を思い出すと、そのとき感じた感情も一緒に思い出されるんです。
感情は、思考とも深くかかわってきます。
『感覚・思考・感情』の3つは、切っても切れない関係。
人は1日に6万回思考するといわれていますが、その大部分は無意識に行われているので、自分では気がつきません。
この時点でもう、目を開けるかどうかの思考が始まっているんです。
感情はそんな思考を知るためのヒントになります。
幸せを感じる時は幸せなことを考えています。
無性にイライラするときは、何かよからぬことを考えているかもしれません。
『自分のことは自分が一番わかっている』などとよく聞きますが、あなたは本当に自分を理解できているのでしょうか…?
負の感情とうまく付き合う方法
怒りなどの負の感情に振り回されていると周りも、あなた自身もしんどいですよね。
今度こそ負の感情に振り回されて失敗しないためには『気づき』が重要です。
感情は単体で存在しているのではなく、ひとつの感情の裏にいくつもの感情が隠されている場合がほとんど。
例えば、パートナーに浮気されると『離婚してやる!!』と怒りの感情が前に出ますが、その裏には悲しみ、悔しさ、不安、嫉妬などの多くの感情も隠れています。
そして、裏に隠されていた感情ごと見つめ直すと『経済的な負い目を感じていた』『もっと話を聞いてほしかった』など、自分でもわかっていなかった本当の気持ちが見えてきます。
自分の本当の気持ちが見えてくると、少し冷静になり、パートナーと話し合ってみようと思えるようになるはず。
感情を見つめ直すことは正直しんどいことです。
イヤだった出来事を思い返す必要も時にはあるから。
しかし、怒りにまかせて離婚してから後悔するよりは、ずっといいと思いませんか?
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ネガティブな感情は悪いものではない
ネガティブな感情は悪いものではないんです。
『ここに何かあるよ』というあなたの心の中からの合図・SOSなんです。
負の感情を信頼できる友達やカウンセラーに話してもいいし、紙に書き出すこともとても効果的です。
紙に書き出すことは、アンガーマネジメントといって感情のコントロール方法として大手企業でも取り入れられています。
とにかく、洗いざらい出し切ることがポイントです。
必要なのは、ただありのままに感じること。
その結果、自分の言動が変わり、周囲の反応も変わってきます。
「最近明るくなったね」と言われ、「自分でもそう思う」と、あなたの中に新たなキャラクターが刻み込まれます。
また、まわりの人の性格や感情を理解することで、他人とのかかわりも変わってくるでしょう。
性格や感情と上手に付き合って、新しい自分との出会いを楽しみましょう!
怒りやイライラは「アンガーマネジメント」でコントロールできる