数分先から数十年先まで、あらゆる未来について悪い結果ばかりを想像し、その未来予想図に縛られて、消極的になってしまう人のことを『ネガティブ思考』といいます。
たとえば、職場で上司に叱られると
リストラや出世コースから外れる原因は、上司から叱られたことではない。
最悪の状況を予想することで、自己否定をしたり、コミュニケーションが上手くとれなくなった結果、ますますミスを重ねたり、上司や同僚の信頼を失ってしまったりすることの方が、よほど問題であると認識を改めましょう。
あなたのネガティブ思考レベルを診断
自分がネガティブ思考であるかどうかの判定は、アドラー心理学の思考実験で簡単に診断することができます。
半分水が入ったコップを見てあなたは次のうち、どちらに感じましたか?
このとき、『まだ半分ある』と感じた人はポジティブ思考。
『もう半分しかない』と感じたらネガティブ思考に分類されます。
与えられた条件は同じでも、ポジティブ思考とネガティブ思考では物事の捉え方がまったく違うことがわかりますね。
ネガティブは悪循環を起こす
ネガティブな未来ばかりを予想しすぎると、さらにネガティブな方向へ向かうという悪循環が、ネガティブ思考の問題点です。
最初は小さなネガティブでも、日々それを繰り返すことで雪だるま式に大きなネガティブへと成長し、どんな場面であれ、成功するイメージができなくなり、何事にも挑戦することが難しくなってしまうでしょう。
挑戦しないということは、成功体験を味わう場面がなくなるので、どんどん負のループにハマってしまいます。
ネガティブ思考は周囲の気持ちもうんざりさせてしまいます。
だから、多くの人はネガティブ思考な人を避け、結果、ネガティブ思考の方が孤立していってしまうんです。
ネガティブ思考が短命の原因に?
アメリカのうつ病と異常心理学の世界的権威、マーティン・セリグマンの調査によると、ネガティブ思考とポジティブ思考を比べた結果、ネガティブ思考の方がうつ病にかかるリスクが高く、平均寿命も短いとの結果が出ています。
また、アメリカ大統領候補の発言を収集・分析したところ、ネガティブな発言をした候補者より、ポジティブな発言をした候補者の方が当選率が高いという結果もあります。
あらゆる意味で人生の成功者といえる多くの人はポジティブ思考だということが、マーティン・セリグマンの調査からも明らかになっています。
タイトル | オプティミストはなぜ成功するか(新装版) |
著者 | マーティン・セリグマン |
価格(amazon) | 1,430円(税込) |
『オプティミストはなぜ成功するか』は、司法試験界のカリスマ・伊藤塾の塾長、伊藤真さんも推薦していて、素人向けにわかりやすくポジティブ心理学という学術的な分野について解説してくれる本です。
タイトルのオプティミストとは楽観者論、つまりはポジティブという意味です。
ポジティブ思考のメリット・ポジティブ思考への意識の向け方がわかりやすく書いてあります。
ネガティブ思考のメリット
これまで、ネガティブ思考には何一ついいことがないように言ってきましたが、ネガティブ思考がすべてにおいてデメリットになるというわけでもありません。
先々まで見通し、長期的にものを考えられることは立派な長所です。
いま、目の前にある事実だけしか見ない短絡的な人や、ポジティブ過ぎる思考の人よりも、リスク回避能力が優れている可能性があります。
ネガティブ思考から抜け出す方法
しかし、リスク回避能力が優れているといっても、状況を冷静に分析し必要なデータを集めた上でなければ、真のリスク回避能力とは言えません。
先を見通す豊かな想像力を鍛えるには、積極的に自己評価をしつつ、ネガティブ思考を克服していくべきです。
そのためには、頭の中で展開されていく負のシナリオと言うべき想像の連鎖を、根本から変えていく必要があります。
根拠のない予言でも、信じて行動することにより、本当にそれが現実する現象を『予言の自己成就』と言います。
これをネガティブではなく、ポジティブに適用することが、ネガティブ思考から抜け出す方法です。
無理にでも未来をよい方向にだけ想像し、少しずつでもネガティブな想像の連鎖から逃げられれば成功。
『大丈夫』『うまくいく』など、本当にそう思っているかどうかは関係なく、機械的でもいいのでポジティブな言葉を発するだけでも効果があるんですよ。
頭の中のシナリオを断ち切らないと悪循環に陥る。